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バンコクP温泉

場所

 タイ バンコク

主要用途

 シティ温浴施設

延床面積

1,000sqm

施主

 某SPAブランド

設計期間

 2016年12月-

状態

 実施設計中

其他

Sunday Architects(実施設計)
ぼんぼり(照明デザイン)
東州際設備(設備)
ミズプラ(温浴設備)

タイのバンコク中心部に建つ超高層ビル。その12階にタイのSPAブランドである施主が温浴施設を作ることになり設計を行った。

この温浴施設は超高層ビルの高層階にテナントとして入居するという特殊さから、一般的な温浴施設では発生しない、下記のような解決すべきポイントがあった。

1)ブランドビジュアルの再構築。施主のSPAは日本にも進出しているブランドであり、タイ色を前面に出したブランドビジュアルを有していた。しかし追随ブランドが増えたことや世界展開を進めるにあたり、モノクロを基調としたよりシャープなブランドビジュアルに再構築しようとしており、そのビジュアルを全面に出すことが求められた。

2)超高層からのシティビュー。この施設はバンコク都市部にある超高層ビルの12階に入居するため、そこから見えるシティビューは絶景である。そのシティビューを最大限に楽しめるようなデザインが求められた。しかしそれだけでなく、施主は今後のチェーン展開においても候補地は「都心超高層ビルの高層階に限定する」としており、シティビューの見せ方が非常に大切であった。

3)限られた設備の供給量。もともと温浴施設が入居することを前提にしていない超高層ビルにテナントとして入居するため、熱源や給排水量など非常に限られていた。そういった供給量の中で、設備を効率的に解決することが求められた。

4)構造。この施設が入居する超高層ビルはセンターコアと外周柱にプレストレスのバンドビームを採用した構造であり、当然ながら温浴施設が入ることを前提に設計されていない。そのため、特に浴槽のお湯荷重に対する補強が必要となる。しかしその補強は、ビル全体の構造バランスを崩さず、かつ退居時に現状復帰ができるような方法が必要とされた。

5)天井高。このビル高層部の階高は4200しかない。この限られた高さの中で、浴槽だけでなく浴槽下の配管スペースや空間の換気ダクト等を確保し、同時に天井が低く感じられないようする必要があった。

まず、一日当たりの目標来客数から同時来客数を想定し、そこからロッカーや浴槽などの数量を算出。男性と女性をそれぞれ南西側と南東側に、算出した必要数量を満足するよう配置した。そして、男女それぞれの浴槽は浴室内のガラスカーテンウォール際に配置し、浴槽に浸かりながらシティビューが楽しめるようにした。

シティビューについては、更衣室から浴室に入ったときの感動をよりいっそう高めるため、浴槽と洗tい場の間に大きな白いフレームをしつらえた。洗い場から景色を見るとき額縁として機能するこのフレームは、単に白いだけでなく、浴槽内から水中照明を当て、水のゆらめきによる動きを映し出している。

設備に関しては特に熱源と排水量の2点が難しいポイントだった。

□熱源。温浴施設は営業時の恒温や毎朝スタートアップ時の加温のため、比較的多量の熱源を要する。一般的温浴施設ではガスボイラーにより熱供給を行うが、このビル高層部にはガスはない。しかし電気ボイラーを使用すると必要電気量がビル供給可能量の3倍近くになってしまい、またランニングコストが高くなってしまう。そこで、この規模ではあまり使われないヒートポンプを使うこととした。初期コスト及び面積が大きくなってしまうものの、ランニングコストとのバランスを踏まえて採用した。

□排水量。既存ビルの排水可能量は非常に限られている。しかし温浴施設は浴槽の清掃や濾過設備の逆洗浄時に大量の排水が発生する。私たちの計画を一般的な設備方法で解決する場合、ビル許容量(120L/分)の3倍以上(460L/分)必要になってしまい成立しない。では排水用タンクに一旦貯蔵し、時間をかけて排水するという方法の場合は10t近くの巨大タンクが必要となり、補強しても構造が耐えられない。そこで、構造上可能な範囲でタンクを設置し、浴槽の清掃や濾過設備の逆洗を時間分けしていくこととした。閉店後にスタッフが業務を行う時間が通常より少し延びてしまうが、最も合理的となるタイムテーブルを作成し、バランスをとることで解決をした。

構造について私たちは、外周の柱を鉄骨補強し、既存スラブから350浮かせた高さでキャンチレバーによって浴槽を支持する方法を考えた。この350はお湯循環用の配管施工が可能な最小寸法である。(床スラブとバンドビームを補強しその上に載せなかった理由は、プレストレスが掛かっている構造の補強が難しく、また退去時の現状復帰が困難なためである。また、キャンチレバーではなく、外周からビルのセンターコアにかけて梁を通さなかった理由は、浴室床下の配管ができなくなってしまい、またコア周りの廊下床レベルが変わってしまい、避難階段への逃げ込みができなくなってしまうためだった)。そして、浴槽深さを一般的なものより少し浅めの500を基準とした。これにより荷重を多少落とすことができるだけでなく、低い階高の中で少しでも天井高を確保できるようにもなっている。