バンコクPANPURI温泉
場所 |
タイ バンコク |
主要用途 |
シティ温浴施設 |
延床面積 |
1,357.03sqm |
施主 |
PANPURI |
設計期間 |
2016年12月- |
状態 |
竣工 |
其他
|
Sunday Architects(実施設計) |
タイのバンコク中心部に建つ超高層ビルの12階にSPAブランドであるPANPURIが温浴施設を作ることになり設計を行った。
初めて現地を訪れたとき、そこから見えるシティビューが素晴らしいと思った。そして「この景色を最大限楽しめるような温浴をつくろう」と思った。
そこで私がたどり着いた答えは「インテリアを作るのではなく、ビューを見るための背景をつくる」ということだった。
見える景色の邪魔をしないように黒を基調とした空間をつくり、ガラスカーテンウォール際に浴槽を配置した。そしてその浴槽を囲い込むように白いフレームをしつらえた。白いフレームは、浴槽と洗い場を区切る境界になるだけでなく、浴室から景色を見るときの額縁でもある。そして夜は浴槽内に仕込んだ照明によって水の揺らめきが白いフレームに映り込み、幻想的な空間をつくりだしている。
もちろん技術的にも解決すべき困難が多くあった。
それはたとえば構造。浴槽を設置するため大きな荷重が掛かるが、施主はテナントとして入居するため退去時の現状復帰を考えると、下階の構造補強は許されず、また浴槽下に多くの配管を設置することを考えると、下階の梁を上に向けて補強することも難しい。そこで、オフィス外周の柱を補強し、浴槽はそこから室内に向けてキャンチレバーで浮かせるという方法で解決をした。
あるいは給排水について。建築がオフィスビルとして作られているため、一般的な温浴施設の作り方では給排水容量が足りず、浴槽の給水時や閉店後の排水に相当な時間が掛かってしまう。ただし大容量のタンクを設置すると構造補強がさらに難しくなる。そこで毎朝の給水のタイミングや閉店後の排水タイミングについて施主と綿密に計算し、タンク容量を最小限にしながら給排水の時間を最短にするよう工夫した。
それ以外にも、換気能力を追加したり、室内の照明がガラスに映り込んで夜景の邪魔にならないよう器具の位置の工夫をしたりといったことも行っている。
浴槽に浸かりながら見るバンコクのシティビュー。それは唯一無二の体験であり、PANPURIの理念である「Your Optimum Self Realized」を体現したものでもあります。